2008年9月8日月曜日

勤続30年   2008.9.8




企業従業員になってこの春で30年を迎えた。




山あり谷あり、天国あり地獄ありの30年だったが、
私の中であるターニングポイントが存在したことを忘れる
ことはない。
それは自らの人生観、価値観を変えるような体験だった。



35歳の頃、関西の販売子会社に出向した時のことである。
販売会社に出向するのは初めての経験だった。
実際の顧客に対し、自社製品を人並みに販売できるかどうか
最初は不安で不安で仕方がなかった。
出向する前日の晩、不安感にいたたまれず寝る前の布団に
正座して私は真剣に祈ったものである。



出向してからは、不安を打ち消すために朝から晩まで仕事に
没頭した。
必要があれば土日を犠牲にすることも平気だった。


法人訪問販売の成果は努力に比例する。
最初の三ヶ月で思った以上の成果が出た。
成果が出ると今度はその状態を維持したいという気持になり、
ますます頑張った。
運にも恵まれたのだと思う。
一年目を終わってみたら、自分でも驚くくらいの成績を残すことが
できていた。



販売会社は成果をあげた者にあつい報奨で報いる。
5月にハワイ報奨旅行が待っていた。
旅費、宿泊費は会社持ち。数万円の小遣いまで出た。
ゴルフをしたり観光をしたり、実に楽しい報奨旅行だった。
一年間、身を粉にして頑張った努力が報われたと感じた
ものである。
報奨旅行に選ばれた自分が誇らしくもあった。



ハワイに行って三日目くらいの夕方だったと思う。
ホテルのベランダから浜辺を眺めていた時のことだ。
ワイキキの浜辺を欧米人がゆったりと散歩する姿を目にした。
その瞬間に私は悟った。
こんな素晴らしい場所でくつろぐためにヒトは一生懸命働くのだ、と。



それまでの私は単なる仕事中毒だった。
仕事の中に喜びを感じ、仕事の成果を出すことに最大の価値観を
置いていた。

本当の幸福はそこにあるのではない。
地上の楽園のような場所で心と身体を遊ばせる・・・
そのために仕事に励むのだと、その時に気付いたのだ。



ついつい仕事に夢中になりがちな自分だが、この気持は今に
至るまで変わっていない。

仕事は仕事。
それは幸福になる手段であって、目的になってしまっては悲しい。