2010年2月7日日曜日

プリウスのリコールに思う  2010.2.7






トヨタ・プリウスのリコールが決まったようだ。
プリウスは回復途上のトヨタを牽引してきたエース車だから、同社にとって
ダメージは大きい。



私はプリウスを運転したことがない。
だから、ブレーキが一瞬きかなくなることがあるということに対して
コメントできない。
少なくないユーザーからの声がトヨタに寄せられていたことは事実のようで
その対応感度とスピードに批判が起きている。



企業の危機管理に関していえば、「コーラ戦争に勝った!」(新潮文庫)
なかに、今でも心に残るくだりがある。
それは有名なジョンソン&ジョンソン社に降りかかった事件に対する
同社の対処に関する記述だ。


・1982年のシカゴ。
 ジョンソン&ジョンソン社のタイレノールというカプセル薬に青酸が
 混入され、毒殺事件が起きた。
 ジョンソン&ジョンソン社はこの事件を誠実に処理したが、この製品の
 販売停止には踏み切らなかった。

・4年後、ニューヨーク州で若い女性がタイレノールを数カプセル飲んで
 死んだ。やはりカプセルに青酸が混じっていた。

・ジョンソン&ジョンソン社のジェームス・バーク会長は記者会見で訊かれた。
「4年前にカプセルの販売を停止しなかったことを後悔していないか?」と。
 彼は正直に答えた。「はい、後悔にたえません」
 そしてカプセル入りのタイレノールを全て市場から回収して廃棄処分した。

・一般市民は会長のまれにみる率直さを評価した。
 レーガン大統領も「彼は重圧にめげず、企業として持つべき責任感と気品の
 最高の理想を実行した」と言った。
 マスコミもジョンソン&ジョンソン社を公平に扱った。



私はこの本から企業の危機管理の要諦を学んだ。
「マスコミは大物をこき下ろすことが好きなのである」とも書かれている。
クレームを頂戴して、それが言いがかりでないと判断した時は、理屈で
対応してはならない。
速やかに、正直に、率直に、誠実に。
それが大切だと信じている。