名作「元気です」の次にリリースされた拓郎のアルバムは「伽草子」だった。1973年、高校三年のことである。 *赤文字がお気に入り
1. からっ風のブルース
2. 伽草子
3. 蒼い夏
4. 風邪
5. 長い雨の後に
6. 春の風が吹いていたら
7. 暑中見舞い
8. ビートルズが教えてくれた
9. 制服
10. 話してはいけない
11. 夕立ち
12. 新しい朝(あした)
お気に入り以外の曲は、全体的にもうひとつ精彩を欠いた印象があり、彼の身辺に何か精彩を失わせる変化があったことが窺(うかが)える。それでも 蒼い夏 は今でもカラオケで歌うこともあるくらい好きな曲だ。
蒼い夏 作詞:岡本おさみ
浜日傘 ゆらゆら
すらりとのびた 長い脚
蒼い夏が 駆けてゆく
ぼくは昼寝を口実に
泳げないのを幸いに
女の子ってやっぱり いいな
拓郎が泳げないことは当時、ファンの間では周知のことだった。歌詞にまで出てくることに親近感を抱いたものだった。これがファン心理というものだと思う。
「伽草子」の次が、最高傑作と言ってよい「今はまだ人生を語らず」である。このアルバムにはしびれた。溝が擦り切れるほど聴いたレコードと表現してもオーバーではない。
1.ペニーレインでバーボン
2.人生を語らず
3.世捨て人唄
4.おは よう
5.シンシア
6.三軒目の店ごと
7.襟裳岬
8.知識
9.暮らし
10.戻ってきた恋人
11.僕の唄はサヨナラだけ
12.贈り物
このアルバムがリリースされたのは大学一年の冬だった。レコード店で購入し、ステレオの針を降ろし1曲目を聴いた時の感動を忘れることができない。
ペニーレインでバーボン 作詞:吉田拓郎
時がたってしまうことを 忘れてしまいたい時があるよね
すべてのものがなにもかも 移り変わってはいるものの
何となく自分だけ意地をはり通して さからってみたくなる時があるよね
そんな時 僕はバーボンを抱いている
どうせ力などないのなら 酒の力を借りてみるのもいいさ
バーボンなど飲んだことはなかったが、飲んでみたいと思ったものだ。そして原宿のペニーレインへ行ってみたいと思ったが結局一度も行っていない。行かないうちに閉店してしまった。このアルバムがフォーク界のトップに一気に駆け上がった彼のピークではなかったかと思う。字あまりの歌詞と独特なメロディが若い私を魅了して離さなかった。汚れたアルバムジャケットを本棚から引っ張り出して眺めてみるとあの時代のことがふつふつと蘇ってくる。今でも大切な一枚である。
追伸
Life is a Voyage 吉田拓郎 TOUR 2007 “Country” のチケットを
手に入れることができた。(11月中旬、鎌倉美術館の公演)
まだかなり先のことだが楽しみにしている。