2008年7月21日月曜日

三ツ矢サイダー  2008.7.21

             根っことコケ



最近、テレビで三ツ矢サイダーの宣伝を目にすることがある。
アサヒ飲料によるコマーシャルである。



かつてコカコーラが普及する前に、日本の清涼飲料水の代表格と
いえば三ツ矢サイダーであった。
幼い頃、ビン容器の栓を栓抜きで抜いて氷の入ったコップに
注いで飲むのが楽しみだった。
着色料も含まれておらず一見して安全そうな飲み物だった。
ベルマークも付いていた。



この歴史ある飲み物の名前を聞いていつも思い出すのは、
亡き母のことである。
家族でサイダーを飲む時、母はいつも私に語るのだった。
「昔はぜいたく品でたまにしか飲めなかった。いつか、毎日
三ツ矢サイダーを飲めるようになりたいと思ったのよ」と。



戦前、戦後を通じて日本は貧しい国だった。
一部の裕福な家庭を除いて、多くの一般庶民はサイダーを
常飲できるほど豊かではなかったのだ。
私が幼い頃、つまり昭和30年代はこれから高度経済成長へと
日本が成長していく走りだった。
まさに映画 「Always 三丁目の夕日」で表現された時代である。
私がもの心がついた頃は、すでに毎日とはいかないまでも
週に数回はサイダーを楽しむ余裕が出てきた頃だったのだろう。



今ではもう飲むこともなくなった三ツ矢サイダー。
今度、スーパーへ行ったら買ってみようかなと思う。
そして豊かな時代の日本に生まれたことを感謝しながら
飲んでみるつもりだ。
もちろん、優しかった母を思い出しながら。