子供の頃、「おまけグリコ」が好きだった。
父が会社帰りにときどき買ってきてくれた。
キャラメルの箱と一緒にパッケージされた小箱のなかに小さなおもちゃが
入っていた。
あまりに昔のことなので詳しくは思い出せないのだが、プラスチック製の
コマや自動車のおもちゃなどが入っていたと思う。
キャラメルそのものよりも、おまけの中身を確かめる喜びが大きかった。
グリコという会社は子供心をつかむのが上手だった。
森永や明治に伍していくにはそうするしか方法がなかったのかも
しれない。
その後、グリコはお菓子のなかに景品と交換する点数券を同梱する
ようになった。
「ペソ」というメキシコの通貨単位を使った点数券が存在した。
兄が友人たちと「ポン」という呼び名の遊びで、それら点数券を増やす
ことに夢中になっていた記憶がある。
点数券を机の上において、軽くすぼめた手のひらでたたきながら風を送り、
裏返しできたら自分のものになるルールだった。
メンコ遊びのようなものだ。
グリコのワッペン集めに夢中になった時期もあった。
薄っぺらいワッペンがお菓子の中に入っていたが、それとは別に
一定の点数を集めると布製の立派なワッペンがもらえる仕組みだ。
子供の頃、六郷にあるグリコの工場へワッペンを交換しに行った。
私の子供時代はグリコとともにあったと言っても過言ではないほど
この会社は大きな存在だったのだと今になって思う。
その後、グリコはバタープリッツ、ポッキーなどのヒット商品で
一流メーカーに成長していった。