「拉致 左右の垣根を越えた闘いへ」を読んだ。
著者:蓮池透氏 出版社:㈱かもがわ出版 ¥1,050
北朝鮮による拉致問題は私の関心事のひとつだ。
拉致被害者・蓮池薫さんの兄 透氏の書いた本が発刊されたのを知り
購入した。
膠着状態にある拉致問題だが、解決への道筋を当事者のひとりである
蓮池透氏が述べており、内容に強い説得力がある。
関心のある方には一読をお勧めする。
今から7年前。
2002年9月に小泉首相が訪朝し金正日と会談すると突然報道された。
マスコミは「電撃訪問」という表現を使った。
拉致問題に解決の兆候があることを直感させる訪朝だった。
国交のない北朝鮮ではあるが、外務省が水面下で交渉を行っていた。
当時の私は半信半疑だった。
なにしろ相手は国交のない独裁国家・北朝鮮である。
またぞろ「拉致問題は存在しません」とトボけられるのではないか
という不信感は強かった。
一方で一国の総理大臣が突然訪朝するというからには、相当な
裏づけがあるのではないかという期待感もあった。
ある大手顧客からの帰りにクルマで聞いたラジオ放送を忘れない。
「5人生存8人死亡」という知らせである。
ショッキングだった。
同時に金正日が拉致問題に対して初めて謝罪の意を表したのは
この会談の成果だった。
あれから7年。
蓮池さん夫妻、地村さん夫妻、曽我さんの計5名が帰国。
その後、蓮池さんと地村さんの子供も帰国が実現。
曽我さんの夫・ジェンキンズさんと子供も戻った。
横田さんの孫もテレビ中継ではあったが存在することを知った。
横田めぐみさんの遺骨が北朝鮮から提出され、本人のものではない
という報道もあった。
その後、進展を知らせるニュースはほとんどない。
残された家族も高齢化している。
家族会のあり方、運動方針にもあえて警鐘を鳴らした蓮池透氏の
主張には耳を傾けるべきものがある。