公園の木陰(横浜市青葉区) by GR DIGITAL Ⅲ
昨晩、帰宅してマンションの郵便受けに白い小封筒を見つけた。
最近では珍しい手書きの手紙だ。
差出人を見ると兄の名前が書いてある。
何かあったのかな、と不審に思い食事前に開けて読んだ。
便箋3枚に下手くそな字が書かれている。
内容は弟である私への感謝の言葉だった。
兄が経済的に破滅して5年たつ。
破滅直後は彼の精神はズタズタに荒れていた。
今のレールへ乗せるまで3ヶ月は結構こちらにも負担だった。
後見人になるため霞が関の簡易裁判所へ足を運んだこともあれば
大田区役所の支所(雪が谷大塚)へはかなり出向いた。
彼の住まいは精神科病棟、簡易宿泊所、公的施設と短いピッチで
変化していった。
そのたびに今まで知ることのない世界を兄と一緒に知ることになった。
そんな変遷の後、現在のアパートに定住を始めて3年が経過した。
その時点から、ありがたくも私が兄を気遣う必要もほとんどなくなった。
2ヶ月に1回くらいは一緒に食事をして、彼の様子を確認する程度だ。
昨夜の手紙。
兄もこんな手紙が書けるほど人間性を取り戻したのか、と
とても嬉しい気持に包まれた。
気持が通じ合う喜びは何より勝る宝物だ。
感謝の気持は私に対してだけではなく、他に世話になった多くの人々へも
忘れないでもらいたい。
手紙の最後は「祐二へ。誕生日おめでとう」で締めている。
私の誕生日にかこつけていろいろ書き綴ってきたのだ。
生きているといいこともあるものだ。
この手紙はいつまでも保管しておくつもりだ。