上場企業の2013年度決算が出そろった。
円安、株高、さらには消費税増税前の駆け込み需要を反映して
総じて好決算だった。
純利益が1年前の約1.5倍だからめでたしめでたし、である。
そのなかでもトヨタがリーマンショック前の記録を上回り
過去最高益を記録したことは、リーマンショックが過去のものと
なったことを意味する。
時代の歯車がひとつ、ガチャンと動いたわけだ。
2008年9月に経営破たんしたリーマンブラザース社は
64兆円の負債を負った。
我が国の国家予算8ヶ月分に匹敵する巨額なこげつきである。
米国政府が救済をあきらめたため、世界的な恐慌を引き起こした。
100年に一度の不況、などと言われたことは記憶に新しい。
米国依存度が高かったトヨタは、クルマの売れ行きが急激に冷え込み
2008年度は記録をたどると4,300億円の大赤字であった。
その前年は2兆円3,000億円の利益を出していたから、いかに
落ち込みが大きかったかがわかる。
トヨタが不調になると日本経済全体が風邪をひく。
下請けのみならず、素材メーカーに至る膨大なサプライチェーン
すべてに悪影響が及んだ。
工場で働く人々の「派遣切り」が広範囲に行われ、社会問題化した。
振り返れば1991年のバブル経済崩壊もニュースだったし、
私の仕事への影響も小さくなかった。
担当する商品の売れ行きが急激に落ち込んだ。
その後、日本経済は不良債権処理に長く苦しむことになる。
リーマンショックが引き起こした金融不安は、影響範囲が全世界という点で
バブル経済崩壊よりも深刻さが大きい。
そうした不況を日本は5年の歳月をかけて克服したことを
今回の決算は示したのだと私は解釈している。