黒富士 8月31日
最近、朝に富士を望めることがある。
全体が黒く、雪は全く見えない。
雪を眺められるようになるのは10月か。
さて、仕事を終え帰宅の途に就いた昼過ぎ。
私は天ぷらそばを食べようと思い、東急田園都市線の駅構内にある”しぶそば”に向かった。
入り口にある券売機にはすでに2人が列を作っていた。
券売機を前に、私より少なくとも10歳は上と思われる高齢男性が操作を始めていた。
メニューを選ぶまでは順調に進んだ。
ところが決済の段階でつまづいた。
クレジットカードを挿入する場所がわからない。
私と高齢男性の間に、別の男性がひとり順番を待っている。
高齢男性 - 男性 - 私 という順番だ。
高齢男性は男性に「どこにカードをいれたらいいんですかね?」と尋ねた。
男性は「カード使ったことがないからわからない」と事務的に答えた。
尋ねられる前からイライラしている様が見て取れた。
心のなかで「もたもたしてんじゃねぇよ」とつぶやいていたに違いない。
高齢男性はいったん最初に戻り、今度はスマホのQRコード決済を試みた。
やはりうまくいかない。
私の前のイライラしていた男性は、とうとう「こりゃ、ダメだ」と列を離れてどこかへ行ってしまった。
高齢男性 - 私 という順番になった。
高齢男性に私が助け舟を出した。
スマホ画面を見せてもらうと、時間がかかりすぎたのか、エラーを表示していた。
私は彼に「お店のスタッフにお尋ねになるといいですよ」と伝えた。
高齢男性は照れくさそうな顔をして「あきらめます」という言葉を残してその場を去った。
1人の高齢男性が券売機でチケットを買えないせいで、店は2人のお客を失うことになった。
こうしたシーンは全国のあちらこちらで起きているだろう。
私は今日、3つ学んだ。
1.券売機を使いこなせない老人は外食すらできない時代を迎えている。
2.多くの決済方法に対応している券売機を操作する自信がなければ、ためらわずに店スタッフ
のヘルプをあおぐべき。
3.現金払いの道も残されているから、自信がない人は無理をせず初めから現金払いを選択する
べき。
世の中の進歩は過酷な現実を突きつけている。
これを読んでいるあなたは大丈夫か。