雪の美術館から旭川市内を望む
iPS 細胞を発見した山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したのは2012年のこと。
あれから10年。
iPS 細胞は医療現場で使われる入り口にまで到達していたことを
確認した。
とくに進んでいるのが重い心臓病治療に使う心筋シートの開発。
大阪大学の澤芳樹教授が6年以上取り組んできた。
すでに治験が終了して、治験を受けた患者の多くが社会復帰している。
来年初めに厚生労働省の承認申請を行う。
私たちの身体は無数の細胞からできている。
ほとんどの部位の細胞は早くて4か月、長くても4年で入れ替わる。
血液が4か月、骨が4年。
ところが心臓と脳だけは再生しない。
心臓、脳の重い病気に iPS 細胞の利用が期待される理由である。
今のところ心臓については移植しか方法がないが、慢性的なドナー不足でごくごく限られた人しか手術を受けることができない。
澤教授の開発する心筋シートは、今ある心臓の機能が落ちた部位に貼り付けてその機能が取り戻せる画期的な技術だ。
心筋とは心臓筋肉の意。
日本発の医療技術が世界中で重い心臓病に苦しむ人々を救える可能性が見えてきた。
素晴らしいことである。