神宮外苑
4月である。
官庁、企業においては新年度スタートの日になる。
新たな社会人たちも門出を祝う日になる。
今夜のニュースには入社式の様子も報道されるだろう。
映るのは大手銀行や大手流通(セブン、イオン)あたりだろうか。
それとも東芝、シャープだろうか。
4月から値上がりする品目も多いらしい。
商品の値上げが復活したのはアベノミクスが始まってからの、ここ3年くらいだ。
思えば長い間、値下げはあっても値上げの記憶はあまりない。
企業の価格競争が激しかったせいだ。
これがデフレということなのだろう。
価格破壊という言葉すらあった。
価格破壊はコンパックコンピューターがもたらしたものだ。
私が高校、大学を経て社会人となった期間が1970年代だ。
あまり記憶が定かではないが、商品・サービスの値上げは60年代後半から定常化していたように思う。
電車運賃は毎年のように小刻みに10円単位で上がっていた。
飲み物やお菓子も値上げがあった。
人々の賃金がベアで上がる代わりに、モノの価格も上がっていった。
70年代によくあったストライキも日本ではほぼ消えた。
国鉄のストで学校の始業時間が2時間遅れる、なんてことも珍しくなかった。
こうして振り返ってみると、世の中は随分と変わったと思う。
鉄道のストがなくなったのも、国鉄が民営化されてJRになったからだ。
私鉄のストもなくなった。
これは組合の力が弱くなったせいなのか。
ストがない社会は顧客重視の表れであり社会の成熟を意味していると思う。
昔は値上げとストが当たり前のようにあった。
なりを潜めていた値上げはアベノミクスによって復活した。
正確には円安による資材価格アップで価格が上がる商品が出てきた。
賃金のアップは感覚的に言うと少し足りない印象がある。
アベノミクスはまだ完成形にはなっていない。