2009年6月7日日曜日

レーシングカー・ゲームの思い出  2009.6.7

             世田谷美術館を囲む木々




小学生低学年のことである。




近所にオガワさんという一年先輩が住んでいた。
彼は自宅にレーシングカー・ゲームを持っていた。
電池じかけのリモコンで動くミニチュアカーを、たたみ二畳くらいの
周回コースで走らせて競うゲームだ。
私はこのゲームを欲しくて欲しくてたまらなかったが、高価だったから
両親は買ってくれなかった。
仕方ないからオガワさんの家に出かけては、ときどき遊ばせて
もらっていた。




そのうち、1回5円か10円をオガワさんに支払って遊ばせてもらう
ようになった。
私から持ちかけたのか、オガワさんが要求したのかは覚えていない。
大人の世界なら何ら問題なく成立する取引だが、小学校低学年の
子供同士の世界としてはいささか不純だったと思う。
ある日、この取引を知ったオガワさんのお父さんが息子を伴って
我が家へお詫びに来たことを今でも忘れない。




オガワさんはしこたま怒られたようだったし、私もかなり叱られた。
子供の遊びに金銭授受を持ち込んではいけないというのが、
両家の親たちの教えだった。
正しいしつけだと思う。



今でもゲームセンターでは、スケールアップした広いサーキットと、
より大きくなったリモコンカーを走らせて遊ぶ少年たちがいる。
そんなシーンを見るにつけ、少年時代のレーシングカー・ゲームに対する
強い憧れとともに、オガワさんとの”取引”を思い出すのである。