2008年12月23日火曜日

トヨタの苦境に思う   2008.12.23

日本を代表する大企業・トヨタが揺れている。



前年度、空前の経常利益をあげていたと思う。
販売台数も米国GMを追い越して、名実ともに世界一の
自動車メーカーになるはずだった。
昨日、今年度1,500億円の赤字見通しを発表した。
世界的な規模で販売台数が激減したことと、円高差損が原因だという。



今から17年前(1991年)を思い出す。

私は神戸に勤務し、ある特定製品の販売促進に携わっていた。
1988年あたりからの好景気、いわゆるバブル経済の追い風を受けて
結構売れた。
私もガンガン販売し優秀社員で社長表彰されたり、外国への報奨旅行も
経験した。先行きはどこまでも明るいと楽観していた。



ところが1991年12月、突然売れ行きが止まったのだ。
バブル経済崩壊の波が12月に来たのだ。
前月までの4割しか売れなくなった。
売れなくなると販売行動量を増やして売ろうとするが、もがいても
売れないものは売れない。
その後は長く低迷が続き、会社の中で針のむしろに座らされた。
今でも思い出したくない経験である。




その製品は「必需品」の事務機ではなく「あれば便利」なものだった。
つまり贅沢品に属するものだったのである。
経済が厳しくなると贅沢品は真っ先に打撃を受けることを私は
身をもって体験した。



自動車も軽トラックなど、セグメント(クラス)によっては必需品だが、
都市家庭では「なくても暮らしていけるモノ」である。
品質も良くなったので耐久性が高く、我慢すれば長く使えてしまうから
買い控えされやすい。
高級車と呼ばれるセグメントは特に苦しい。



贅沢品は販売好調時は利益率が大きく利益も莫大だ。
そのかわり不況になると、受ける打撃は早く大きい。
これが原理原則である。




トヨタは優秀な企業だから立ち直りも早いだろう。
プリウスという競争力の高い製品もある。
長年蓄えた内部留保も多いだろう。
地球環境問題を先取りした新ジャンルの製品を出して世界の
クルマメーカーを引っ張っていくはずだ。
しばらくは我慢の時であるが、私はその復活を疑わない。