2020年11月29日日曜日

実話    2020.11.29

陽だまり(田園調布せせらぎ公園)  11月14日





兄は2度の結婚をしている。
兄は私の5歳上、2人兄弟である。


兄の最初の結婚は社会人になって2~3年目くらい。
大学を卒業して入社した会社にいた相手だった。
結婚して子供を授かったがその後、夫婦仲がうまくいかず離婚。
離婚前から兄は精神も患っていた。
私が札幌勤務時代、兄から錯乱した電話をもらい当惑したことがある。


離婚して10年くらい経過した頃、2人目の妻となる人と出会う。
2人目の妻(私にとっての義姉)とは静かに仲良く暮らしていた。
しかし、幸せは長くは続かなかった。
約20年前(2001年)に義姉を52歳の若さで亡くす。
そこから兄の人生は大きく狂っていく。


妻の遺産、死亡保険金が兄に残された。
かなりの金額だったことを私は知っている。
両親の残した不動産からの収入(月次)もあった。
普通に暮らせば生涯食べるには困らなかったはずだ。


大きな財産を前にして気が大きくなった(なりすぎた)兄は、湯水のようにお金を散財し始めた。
私が注意すると逆ギレした。
知り合って日もたたない若者に「君は商才がある。この金を使って商売をやりたまえ」と500万円を差し出す。借用書も取らない。
いっぱしの旦那気取りだったのだ。
必要ない外車を怪しげなディーラーから2台も買ったりもした。


7年後の秋。(2008年)
兄は住んでいた賃貸マンションの家賃すら払えず、ホームレスになった。
一文無しになったのだ。
半月くらいだと思うが、大田区の公園で寝泊まりしていたようだ。


私は行政に兄を連れて行き生活保護を受けさせた。
その後、入所した施設でもさまざまなトラブルを起こした。
性格が尊大でカッとなりやすい。
そのたびに私も行政や施設から呼び出され、少なからず煩わされた。
施設を転々とし、現在は群馬県の施設で暮らしている。


このところ1年くらい、兄との連絡は途絶えている。
このまま生き別れる可能性もあるが、それもしかたがなかろうと思っている。
兄の人生は実質的に2008年に終わっているのだから。