2016年4月3日日曜日

経済成長よりも豊かさの維持が大切   2016.4.3

神宮球場





休日の朝はマンションの廊下を歩く人の足音も少ない。
布団の中で目覚めてうとうとしていると、時間と空間が弛緩しているような感覚がある。
静かな日曜日の朝である。



さて、足元の経済は円高基調、株価停滞で勢いを感じない。
しかし、建設業を中心に求人倍率は高く、けっして不況ではない。
日本全体を揺るがすような大災害もない。
高望みをすれば不満はあるかもしれないが、総じて安定しているのではないかと思う。



普通に考えると、これから人口が減っていく日本は大きく経済成長する余地が少ない。
佐伯啓史氏(京大名誉教授)が「われわれはすでに物的に豊かな経済の段階に達しており、いくらイノベーションを起こしても消費需要は大きくは伸びない」と述べているが同感である。
かつての高度経済成長は、それまで日本の普通の家庭になかったクルマや電化製品が充足されていくことで成し遂げられた。
新規購入は頭を打ち、今は買替需要が大半だからかつてのような好況は起きない。



経済成長は好ましいことだし、我々の生活が豊かになることも大歓迎だが、天井知らずの成長・豊かさはありえない。
私は毎日、トイレでウォシュレットを使うたびに恵まれた時代に暮らせる幸せを実感する。
幼い頃は質の悪い灰色のチリ紙で尻を拭いていたのに、今や温水で洗えるのだ。



今の豊かさ程度でもう良いのではないか。
この豊かさを維持していくことのほうが、さらなる成長を望むよりも大切なのではないか。
そう思うようになった。
今の豊かさへの脅威は何か。
自然災害はもちろんだが、最近ではテロが怖い。
伊勢志摩サミットもあるし、オリンピックもある。
守りを固めてほしい。
国家予算をディフェンスに傾けてほしいと願う。