2017年2月3日金曜日

中間層は衰退する  2017.2.3

表参道ヒルズ




貧富の差を語られることが多くなった。


上位1%の富裕層が世界の富の半分を占める、とか、最近では世界の富豪8人が36億人の貧困層と等しい資産を持つというような発表がなされた。
ちなみに8人とは以下の人々である。

ビル・ゲイツ(米国)           マイクロソフト創業者
アマンシオ・オルテガ(スペイン)   ZARA創業者
ウォーレン・バフェット(米国)     バークシャー・ハザウェイの筆頭株主
カルロス・スリム(メキシコ)      グルポ・カルソ創業者
ジェフ・ベゾス(米国)          アマゾン創業者
マーク・ザッカ―バーグ(米国)    フェイスブック共同創業者
ラリー・エリソン(米国)         オラクル創業者
マイケル・ブルームバーグ(米国)  ブルームバーグ創業者


8人のうち6人が米国人だ。
IT有名企業の創業者たちが莫大な富を築いたことがわかる。
PCやネットの普及と歩調を合わせて、ここ20年くらいの短期間でのことである。
彼らこそ、アメリカンドリームの頂点に立つ人たちだ。


いっぽう、中間層の没落についても米国大統領選挙で盛んに語られた。
分厚い中間層の存在が国の豊かさのベースだが、グローバル経済の進展に伴い、中間層が減り貧困層が増えている。
工場の海外移転で仕事を失った「忘れられた人々(forgotten men and women)」がトランプ氏を大統領に押し上げた、などと語られた。
中間層が減っていることに関しては日本も同様の問題を抱えている。


中間層の未来に関して、私は悲観的な予測をしている。
戦後、工業化の進展に伴い多くの人々が製造業に集まり、工業生産を押し上げ、そこで働く人々も豊かになった。
現在は工場がコストの安いアジアの国々へ出ていき、日本人が働ける製造現場は少なくなっている。


製造業に代わって、現在、労働者を必要としている産業はITと物流である。
システムエンジニア(SE)は常に人材が不足しているし、ネット通販の急拡大に伴い宅配個数はうなぎのぼりだ。
私の住む地域では、ヤマト運輸の配送員さんが夜9時過ぎまで懸命に働いている姿を毎晩目撃する。
IT(SE)と物流は仕事がきつく、その割に給料が安いことで知られる。
働く場所はあっても中間層を形成できないのだ。


すなわち、人を多く必要とする給料の良い働き場所(産業)が見当たらないのである。
この状況が変わらない限り、日本の中間層はどんどん減っていくことだろう。
将来に新たな産業が出現し、高い給料で多くの人を雇用してくれることが起きるのを祈るしかない。